2016年01月05日

エビデンス取り扱い上の注意

腰痛治療の新常識』と題して、腰痛を中心に筋骨格系疾患の原因と治療に関するエビデンス(科学的根拠)を不定期で紹介していますが、エビデンスを知ったからといって必ずしもよい医療ができるとは限りません。エビデンスを最優先し(俗にいうエビ固め)、それを患者さんに押し付けるのは暴力行為(ドクターハラスメント)です。

そもそもEBM(根拠に基づく医療)の定義は、「エビデンス」「患者の状況」「患者の価値観」「治療者の技」を統合することです。したがって、エビデンスは全体の4分の1でしかないということを肝に銘じていただきたいと思います。エビデンスは必要条件であっても、けっして十分条件ではありません。

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愚拙がここで『腰痛治療の新常識』を公開する理由は、腰痛にまつわる迷信や神話に振り回されて腰痛難民になってほしくないからです。また、イギリスとアメリカではメディアリテラシーやヘルスリテラシーを育むために「根拠を尋ねよう」と銘打つキャンペーンが始まっていますが、日本でこのようなキャンペーンを実施するのはおそらく不可能だと思うからです。

医学教育の基礎を築いたウイリアム・オスラーの「医療はサイエンスに支えられたアートである」という言葉を忘れないでいただきたいと思います。どちらに傾くこともなく、常にサイエンス(エビデンス)とアート(患者の状況・患者の価値観・治療者の技量)のバランスを考えていただければ幸いです。

posted by 長谷川 淳史 at 09:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

新春お年玉キャンペーン

1月1日から31日までの1ヶ月間、腰痛治療セミナー『TMSジャパン・メソッド』と講演会『根拠に基づく腰痛治療入門』を収録したDVDを30%引きで提供させていただきます。東京のセミナー会場まで足を運べない方は、ぜひこの機会をご利用ください。

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臨床試験で有効性が証明されていないリスク(害)がベネフット(利益)を上回る不適切な医療が横行しているといわれています。現時点で最善の医療を受けられないのは、腰痛患者にとってきわめて不幸な状況といえます。

医療費はもちろん通院費や休職手当まで政府が負担しているヨーロッパやオセアニア諸国では、数年おきに改訂される「腰痛診療ガイドラン」の積極的な導入によって、従来の標準的な治療より治癒率と満足度を上げ、再発率と医療費を低く抑えることに成功しています。

世の中には素晴らしい治療法が星の数ほどあります。しかし同じ土俵で競わせた場合、どの方法がもっとも有効で費用対効果が高いか知りたくはありませんか? 健康情報の真偽の見抜き方をマスターして腰痛にまつわる迷信や神話を一掃してみませんか? 

そろそろ腰痛にまつわる時代遅れの常識を捨て去り、新しくなった腰痛概念を身に付け、腰痛に対して抱いている態度と信念を改め、より効果的で費用のかからない21世紀の治療を始めましょう。ご注文は「DVD販売」のページからどうぞ。

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腰痛治療の新常識―256―

荷役労働者の腰痛予防と治療に関する9件のRCT(20,101名)と9件のコホート研究(1,280名)をレビューした結果、手作業運搬訓練やアドバイスが腰痛の予防や治療に有効だというエビデンスは存在しないことが判明。http://1.usa.gov/uKcAsk

何度も繰り返しますが、楽な物の持ち上げ方はあっても腰に良い物の持ち上げ方はありません。そんなアドバイスをしていると物を持ち上げる度に腰に意識が集中し、腰痛の回復が遅れるだけでなく腰痛発症率が高くなります。だからこそ最新の腰痛診療ガイドラインでは、正しい物の持ち上げ方を教えてはならないと勧告しているのです。

国民の利益になるかもしれません。もしご迷惑でなければ「シェア」をお願い致したく存じます。いちいち承諾を得る必要もなければ、TMSジャパンも愚拙の名前も出す必要はありませんので、SNSはもちろんブログやサイトに引用先のURLごとコピー&ペーストして、情報の拡散にお力を貸していただけると幸甚でございます。

posted by 長谷川 淳史 at 08:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする