2017年02月10日

根拠に基づく腰痛治療―24―

■脊椎固定術を受けた労災患者185名を対象とした後ろ向きコホート研究によると、41%がQOLに変化がないか悪化した。再手術率は24%、長期活動障害率は25%、癒合率は74%。転帰不良の予測因子は心理・社会・経済的因子。http://1.usa.gov/o59zzE

■画像検査、ブロック注射、オピオイド投与、手術実施率が上昇しているにも関わらず、脊椎疾患は雪ダルマ式に膨れ上がっている。ことに慢性腰痛の発症率が上昇しているのは深刻な問題。http://1.usa.gov/q4khKD http://1.usa.gov/px009V

■2001年以降、疼痛を脈拍・体温・呼吸数・血圧に次ぐ5番目のバイタルサインとして日常的に評価しようとする動きがある。しかし、腰痛疾患を対象とした場合は、医療の対象化・過剰検査・過剰治療という悪影響を生じる可能性が高い。http://1.usa.gov/rpSmeO

■退役軍人医療センターで疼痛評価を導入する前後の臨床転帰を比較した結果、疼痛を5番目のバイタルサインとして日常的に評価しても疼痛治療の質は向上しなかった。疼痛評価が臨床転帰に影響を与えるというエビデンスはほとんどない。http://1.usa.gov/pYo6OL

■疼痛を5番目のバイタルサインとして数値化することでいくつかの問題点が浮上している。このプログラムを導入したことによって術後患者に対する鎮痛薬の過剰投与が生じ、疼痛は完全に除去すべきという方向へ振り子が大きく振れた。http://1.usa.gov/mUGmFr

■疼痛を5番目のバイタルサインとして日常的に数値化する方法をがんセンターで採用した結果、患者の満足度は向上したものの、オピオイドによる副作用が2倍以上に増加した。疼痛を最重要視するのは患者の生命を危険にさらすことになる。http://1.usa.gov/rpRyjj

■疼痛を5番目のバイタルサインとして疼痛スケールで評価すると、薬の過剰投与に気づかないばかりか投与不足を過度に強調してしまう。このバランスの悪さが鎮静剤と麻薬のさらなる過剰投与を招き、患者の死亡や活動障害の原因となる。http://1.usa.gov/nRF75X

■小児期に体験した不幸な出来事(交通事故による入院・親の死亡・両親の離婚・親のアルコール依存・貧困家庭)が壮年期における広範囲な慢性疼痛の予測因子であることが判明。トラウマとなるような体験は慢性疼痛の発症と重症度に関連。http://1.usa.gov/nePOkk

■小児期に虐待(身体的・精神的・性的)やネグレクト(育児放棄)を経験した者は、それらを経験していない者より成人してから慢性疼痛を訴える傾向があることがメタ分析によって明らかとなる。虐待は慢性疼痛のリスクファクターである。http://1.usa.gov/nqfkEH

■過去の不幸な出来事は明らかに慢性腰痛の危険因子ではあるが、両者間にU字曲線が見られたことから軽度の逆境体験は保護的に働く可能性が浮上。軽度の逆境体験者は慢性腰痛による疼痛障害が小さく医療の利用率も低いことが判明。http://1.usa.gov/ol0hCX

posted by 長谷川 淳史 at 21:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

市民公開講座・健康は情報で決まる

2月26日(日)に日本長生医学会旭川支部様の主催で『市民公開講座・健康は情報で決まる―ヘルスリテラシーを高める方法―』と題した講演会を行ないます。

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【主 催】 日本長生医学会旭川支部
【日 時】 2017年2月26日(日) 14:00〜16:00
【会 場】 旭川市ときわ市民ホール 研修室101
【受講料】 1000円(事前申し込み不要・当日会場にて承ります)
【地 図】 北海道旭川市5条通4丁目
お問い合わせはこちら⇒ tulip@muh.biglobe.ne.jp

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TMSジャパンの腰痛治療セミナーは必ずヘルスリテラシー(医学・健康情報の真偽を見抜いて有効に活用する能力)から始まります。なぜなら、ヘルスリテラシーが低い人ほど病気に罹りやすく、医療費がかさみ、死亡リスクまで上昇することが科学的に明らかとなっているからです。

その中でフードファディズムについても触れています。科学的根拠の有無にかかわらず、食品や栄養素が与える影響を過大に評価するだけでなく、マスコミ・インターネット・書籍・雑誌で流された「この食品を摂取すると健康になる」「この食品を口にすると病気になる」といった情報を鵜呑みにし、バランスを欠いた偏執的で異常な食行動をとることを指します。

その対象は主に、健康に好影響をもたらし得る食品・有害性が疑われる食品・ダイエット食品・健康食品・ミネラルウォーターなどで、健康被害や詐欺にまつわる報告が年々増加しています。つまりクワッカリー(インチキ療法・健康詐欺・溺れる者に藁を売る商売)の被害者が増えているというわけです。

ではなぜ科学者は声を上げないのでしょう? 誤った情報の拡散を黙って見ている方が、立ち上がって誇大宣伝に立ち向かうより簡単で安全だからです。クワッカリーやトキシックテロリストに反論しようものなら、「悪魔の証明」(ある事実は絶対に存在しないことを証明)を強いられるだけでなく(莫大な費用と途方もない時間がかかる)、凄まじいまでの個人攻撃によって職を失う恐れや、本人はもちろん家族の身にも危険がおよびます。そう考えると、ヘルスリテラシーの中でもっとも巨大な敵はフードファディズムなのかもしれません。

「われ試した」⇒「成功した」⇒「ゆえに効いた」という『三た論法』のトリック、もしくは溢れかえる「誤った医学・健康情報」に振り回されず、健康的で平穏な日常生活を送りたい方は、ぜひお誘い合わせの上お越しください。

posted by 長谷川 淳史 at 09:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする