「この本には絶対に治る奇跡の治療法が書いてあるけど、じゃあ、あの本の内容はデタラメだったのか?」
「新しい治療法を習ってきたはいいが、この患者さんに使った場合、今までの治療法より早く治るだろうか?」
「あの先生は評判が良くていつも自信満々だけど、あんな乱暴な治療が本当に効くんだろうか?」
「どうしてこの患者はいつまでも治らないんだろう。他にもっと有効な治療法はないのか?」
「そもそも自分の治療は本当に有効なのだろうか。もしかして、患者が勝手に治ってるんじゃないのか?」
このような疑問を抱いたことはないだろうか。よほど自我の肥大がない限り、誰しも何かしらの疑問を抱えながら患者と接しているはずである。EBMはこうした臨床現場で生じる疑問点からスタートする。
つまり、目の前の患者に最善の医療を提供するには、どんな検査をして、どんな診断を下し、どんな治療をすれば、どんな結果が得られるのかといった、臨床現場における生の疑問点(リサーチクエスチョン)を明確にするのである。
疑問点を明確にするには、以下に示すような「PICO」、あるいは「PECO」を用いると便利だとされている。
【P】Patient=どのような患者に
【I(E)】Intervention (Exposure)=ある治療(検査)をすると
【C】Comparison=他の治療(検査)と比べて
【O】Outcome=どんな結果が得られるのか
そして疑問点を解決するための文献検索に必要なキーワードを考える。具体的には、「症状」「診断」「治療」「転帰」「予防」「安全性」「費用対効果」などである。
ここで強調しておきたいのは、EBMに必要なエビデンスは動物実験でも病態生理学的理論でもなく、臨床現場で直面している患者(人間)に焦点を当てたものに限定されるということである。
俗にいう「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!」(by 湾岸署刑事課強行犯係 青島俊作巡査部長)ってことだ。
ラベル:EBM
【関連する記事】