2006年01月03日

感度と特異度について

これから慢性腰痛における検査法について述べていくが、その前に、感度特異度について説明しておきたい。なぜなら、ある検査法の診断精度もしくは臨床的有用性を評価する際、その検査法の感度と特異度がきわめて重要になるだからだ。

感度(sensitivity)とは、病気の人が検査で陽性になる確率で、感度の高い検査法を用いると、病気を持った人を見落とす可能性が低くなる。つまり、感度の高い検査で陰性だった場合は病気の存在を否定できるということになり、除外診断としての有用性が高い。

特異度(specificity)とは、健康な人が検査で陰性になる確率で、特異度の高い検査法を用いると、健康な人を病気だと誤診する可能性が低くなる。つまり、特異度が高い検査で陽性だった場合は病気が存在するということになり、確定診断としての有用性が高い。

感度も特異度も100%の検査法があれば理想的なのだが、現実にはそこまで精度の高い検査法はありえない。というのも、生きた人間を相手にしている以上、医療には必ず不確実性が存在し、その呪縛からは逃れられないからだ。こうした事実を踏まえたうえで、これから述べていく検査法を客観的かつ冷静に眺めてもらいたい。
posted by 長谷川 淳史 at 15:53| 診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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