最近、『EBMに基づく○○診療ガイドライン』という本がやたらと増えてきた。でも、『根拠に基づく医療に基づく○○診療ガイドライン』って、日本語になってなくない?
誤解のないように説明しておく。これは出版社が悪いのではなくて、EBMに関する誤解を広めた厚生労働省に責任がある。「EBM=ガイドライン」という誤解を広めたのも、「EBMに基づくガイドライン」という英語に翻訳できないトンチンカンな用語を作り出したのも、他ならぬ厚生労働省なのである。
頭のイイお役人の考えることは、オツムの悪いこのノータリンには永遠に理解できないのかもしれない。
それから去る4月1日、ある国の医師会副会長が記者会見の席上でこのようなことを仰せになった。
「根拠に基づく医療というものも必要であるが、患者さんの痛みや望んでいることを理解したうえで、医療を提供していくことも重要と考えている。最近はそのような考え方が忘れられがちであり、それらを取り戻せるよう努力していきたい」
お言葉を返すようで大変恐縮なのだが、「患者さんの痛みや望んでいることを理解したうえで、医療を提供していくこと」こそがEBMだと、EBMの父デビット・サケット教授がおっしゃっているぞ(Sackett DL.et al,1996)。
万が一、この記者会見が海外のメディアで報道されたら、いい恥さらしになると思うがどうだろうか。せめてEBMに関する1冊の本、いや1編の論文でもいいので、ざっと目を通してから発言してもらいたかった。
あれ? もしかして、エイプリルフールってことでボケをかましたのか? それならゴメン。
ま、いずれにせよどうでもいいことだ。この赤い彗星には関係ない。
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