「われわれは宗教的、政治的、道徳的、経済的、教育的、常識的など、あらゆる理論や信条から自由でなければならない」というアレキシス・カレルの言葉は肝に銘じているつもりだし、メンターの菊地臣一教授には「変えられないことは批判するな」と厳命されている。だから批判はしない。でもお願い、今夜だけは泣かせて。
財政健全化を目指す政府の考えはよく理解できるし、評価すべき政策も少なくない。もちろん、改革には痛みを伴うことも十分承知している。しかし、従来からあった所得格差がこれ以上拡大するのは望ましいことではない。
小泉首相がいくら「問題になるほどの格差はない」と繰り返そうと、内閣府が「もともと所得や資産の差が大きい高齢者世帯が増えてきたからで、見かけ上の格差拡大にすぎない」と発表しようと、所得格差が存在し、それが拡大しているのはまぎれもない事実である。
2005年2月、経済開発協力機構(OECD)が発表した報告書「所得格差と貧困」によると、日本の貧困率(1世帯あたりの平均所得の半分以下しか収入のない貧困世帯の割合)は、メキシコ、アメリカ、トルコ、アイルランドに次いで第5位で、ことに若年者と高齢者の貧困率が高いという(ちなみに日本の平均所得は476万円)。

さらに、2006年7月20日に発表した「対日経済審査報告書」では、生産年齢人口(18歳〜65歳)の貧困率に着目したところ、OECD加盟国の中で日本はアメリカに次いで第2位であり、所得格差に対する包括的な対策が必要だと警告している。
それにもかかわらず、政府はこれまで非課税だった低所得者・年金生活者・高齢者に住民税を課し、国民健康保険料・介護保険料・老人医療費の窓口負担を引き上げ、障害者自立支援法で障害者を切り捨てるだけでは足りずに、リハビリテーションが必要な患者まで切り捨て、生活習慣病の予防を徹底するといっておきながら歯周病予防や虫歯予防のためのケアを制限した。
弱者を狙い撃ちするようなこうした制度改革はいかがなものだろう。国民に負担を強いる前に何かやることはないのだろうか。それとも、やれることはすべてやり尽くした上でのことなのだろうか。専門外なので詳しいことはよくわからない。しかし、痛みに苦しんでいる人がさらに経済的打撃まで受けている様子は目の当たりにしている。
そこで考えた。TMSジャパンが提供している治療プログラムの価格を可能な限り引き下げてみようと。もちろんこの赤い彗星も貧困世帯なので反対意見が圧倒的に多い。でもここはひとつ覚悟を決めてみようと思う。せっかく生まれてきたのだから、ほんのわずかでも誰かの役に立ちたいではないか。残された時間もそれほど長くはないだろうから、悔いだけは残したくない。心の信じるままに行動してダメだったとしても、それはそれでいいではないか。それが赤い彗星という男だ。
というわけで、治療プログラムの内容や価格を大幅に変更する準備を進めている。次回の「TMSジャパン・メソッド」や「個人治療プログラム」に関する問い合わせが来ているが、詳細がまとまり次第発表するのでもう少々お待ちいただきたい。