2016年12月17日

根拠に基づく腰痛治療―15―

■腰のX線撮影による放射線被曝量は、胸の写真に換算すると150回分に相当し、4方向から撮影した場合、卵巣への被曝量は6年〜98年間毎日、胸の写真を撮った被曝量に匹敵。http://1.usa.gov/ify8x6 http://1.usa.gov/kjcHDP

■腰痛患者421名をX線撮影群と非撮影群に割り付け、9ヶ月間にわたって追跡調査した結果、非撮影群に比べるとX線撮影群は痛みの持続期間、活動障害、健康状態の成績が悪く、受診回数も多かった。不安や恐怖は治癒を妨げている。http://1.usa.gov/ihdsPJ

■1985年〜1995年に発表された腰痛疾患と画像検査に関する論文672件をレビューした結果、画像所見と腰痛との間に関連があるという証拠は見出せなかった。レッドフラッグのない腰痛患者の画像検査は無意味である可能性大。http://1.usa.gov/mwyvVG

■5つの異なる職種の男性149名を対象に、1年間にわたってMRIで腰部を観察した結果、椎間板変性と腰痛との関連はない、職種による異常検出率に差はない、調査期間中に13名が腰痛を発症したがMRI所見に変化はないことが判明。http://1.usa.gov/kx1dpn

■腰痛経験もなくX線所見も異常のないボランティア受刑者50名を対象に、腰部椎間板造影を行なったところ、全例に異常所見が確認された。重大な合併症の危険を冒してまで、侵襲的な椎間板造影を行なうメリットはどこにあるのか? http://1.usa.gov/iUPQWz

■椎間板ヘルニア患者を対象に、CT、脊髄造影、椎間板造影、ミエロCT、ディスコCT、MRIの診断精度を比較した結果、最も高いのはMRIで最も低いのは椎間板造影だった。http://1.usa.gov/kv9ISH http://1.usa.gov/jlyHsd

■坐骨神経痛患者55名と健常者37名を対象に、腰部サーモグラフィーの診断精度を比較した結果、健常者の56〜81%に異常所見が確認されたことから、腰下肢痛疾患の診断にサーモグラフィーは役立たないことが判明。http://1.usa.gov/iBgilg

■各国の腰痛診療ガイドラインはレッドフラッグのない患者に画像診断をするなと勧告しているが、レッドフラッグは問診と簡単な理学検査で検出できる。しかし完全無欠というわけではない。感度と特異度もしっかり頭に入れておくべき。http://1.usa.gov/mJccsd

■当初は有効とされていたが比較試験によって無効と判断され医学界が放棄した治療法に関する19件の論文をレビューした結果、その平均有効率は約70%(Excellent:40.2%、Good:29.6%、Poor:30.3%)にも達していた。http://bit.ly/ijxEk5

■1966年〜1991年に発表された椎間板ヘルニアに対する脊椎固定術に関する47件の論文をレビューしたところ、脊椎固定術によって優または良と評価できた割合は平均68%だったことが判明。平均70%のプラシーボとほぼ同等。http://1.usa.gov/k4Z0q9

posted by 長谷川 淳史 at 00:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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