2017年06月09日

根拠に基づく腰痛治療―43―

■航空機組み立て工場に勤務する男性269名を対象に、職業性腰痛の予測因子を1年間にわたって追跡調査した結果、労災補償歴と腰痛再発による労災補償請求とが相関することが判明。腰痛は人間工学的問題とは無関係である可能性を示唆。http://1.usa.gov/R6YGav

■ボーイング社の航空機関連従業員3020名を対象に、職業性腰痛の予測因子を4年間にわたって追跡調査した結果、仕事に対する不満と経済的問題(生活困窮)が腰痛発症による労災補償請求と関連。非物理的因子が関与している可能性。http://1.usa.gov/OORV9j

■老人専門病院のナースを対象に運動プログラムの腰痛予防効果を調査したRCT(ランダム化比較試験)によると、13ヶ月後の腰痛による欠勤日数はトレーニング群で28日、対照群で155日だった。運動には腰痛を予防する効果がある。http://1.usa.gov/OOV5d3

■脊椎分離症または脊椎分離辷り症のあるアスリートを約5年間追跡調査した結果、連日の過酷なトレーニングにもかかわらず症状を訴えた者は皆無だった。若者にアスリートの道を諦めさせたり激しい運動をさけさせたりする必要はない。http://1.usa.gov/NJNbpB

■腰痛患者41名と健常者46名を対象に二重盲検法を用いてサーモグラフィー、Spinoscopy、Triaxial dynamometryの診断精度を比較した結果、サーモグラフィーには臨床上の価値がほとんどないことが判明。http://1.usa.gov/NJQgGe

■AHCPRの成人の急性腰痛診療ガイドラインに従うとX線画像検査は45%の患者に行なうことになるが、ESR(赤血球血沈降速度)を調べることによって悪性腫瘍の検出能力を落とさずにX線画像検査の実施率を22%に抑えられる。http://1.usa.gov/SlHCjf

■腰痛疾患で再手術を受けた患者179名を対象とした研究によると、手術の成功率は2回目で45%(20%は悪化)、3回目では25%(25%は悪化)、4回目では15%(45%は悪化)あることが判明。最初の手術が最後のチャンス。http://1.usa.gov/QMz2p0

■2ヶ月以上病欠中の慢性腰痛患者975名を対象に教育プログラム群と標準的治療群を比較したRCTによると、200日後における復職率は前者が70%だったのに対して後者は40%だった。新たな腰痛概念に基づくアドバイスはきわめて有効。http://1.usa.gov/TYcE2e

■坐骨神経痛患者507名を対象に手術群と保存療法群を比較した前向きコホート研究によると、1年後の改善率は手術群のほうが優れていたが、労災補償率(46%vs55%)も失業率(5%vs7%)も保存療法群と差は認められない。http://1.usa.gov/PVltou

■慢性頚部根性痛(3ヶ月以上持続)患者81名を対象に頚部椎間板切除術か固定術群・各種理学療法群・頚椎カラー群を比較した世界初のRCT(ランダム化比較試験)の結果、手術には保存療法を上回る効果がほとんどないことが判明。http://1.usa.gov/PVsSUC

posted by 長谷川 淳史 at 01:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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